拝み合うとは、人と人がお互いを拝み合うというお話です。
法華経の中に常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)という仏様がおられます。
この方は修行の中で、出会う人全てに「私はあなたを敬い、決して軽んじたりはいたしません。なぜならあなたは菩薩行をして、仏になられる方だからです」と言って手を合わせ、拝んでおられました。
人々からは変わり者だと思われて、時には拝まれて怒りだす人もいました。
しかし、何を言われても丁寧に合掌礼拝をして「あなたは仏になられます」と同じ言葉を繰り返されました。
やがて、それが人々の心に伝わり、本当の修行者だと理解されるようになったのです。
これはいったいどういう事かと申しますと、人の心の中にある、仏に成る元である仏性を拝んでおられたのです。
仏様の救いというのは亡くなって、他の世界に行って救われるというのではなく、たくさんの苦しみがあるこの娑婆世界で、一生懸命生きぬいて修行を積むことに価値があって、お釈迦様の教えの中にこそ、救いの世界があることを示されたのです。
常不軽菩薩は修行で、人々の苦しみや憎しみが無くなり、互いに幸せが来るように菩薩行を実践し、今を生きる人に対して仏性に目覚め、仏に成ることを願われました。
仏に成ることを成仏と言います。
仏とは世の中の真理に目覚めて、心は何にも乱されないで智慧を活かし、人々の苦しみや悩みを除いていこうとする人のことです。
亡くなられた人が成仏して、私達を見守って下さることと同じなのですが、実は生きている私達が、この世において志すことでもあるのです。
人と人がお互いに敬い、その人の良いところを見ることができれば、心は次第に豊かになっていきます。
何事も他人事ではありません。
人の苦しみも自分の苦しみと受け止め、自分のできる範囲でいいので力を貸していただければ、それも立派な菩薩行です。
人に感謝、人からも感謝の心が、拝み合う心ではないでしょうか?
お互いに拝み合う心を忘れずに、仏に成る道を共に進んで参りましょう。
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